London sunset cityscape with Tower Bridge

日本人がイギリスで不動産を購入する際のLegal Compliance
(法的要件)

イギリスで不動産を購入する際には、国籍や居住地にかかわらず、買い手・売り手の双方に対してさまざまな法的なチェックや手続きが求められます。ここでは、日本に住む日本人がイギリスの物件を購入する場合に必要となる Legal Compliance(法的要件) をわかりやすく整理してご説明いたします。

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マネーロンダリング防止(AML)チェック

イギリスの法律では、不動産取引に関与する 買い手・売り手の双方 が、マネーロンダリング防止(AML)チェックの対象となります。

買い手に対して行われるチェック

  • 本人確認:パスポートや住所証明書(公共料金の請求書、銀行明細など)
  • 資金源の証明:銀行口座明細(過去3〜6か月)、給与明細、確定申告書など
  • 贈与や相続の場合:贈与契約書や相続関係書類に加えて、資金を提供した人の資金源証明
  • 海外居住者の場合:追加的な「Enhanced Due Diligence(強化された精査)」が行われることが多い

これらは、Solicitor(弁護士)や Conveyancer(登記手続きを担当する専門家)が確認します。

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Sanction(制裁リスト)チェック

  • イギリス政府(OFSI)が公表する制裁リストに該当しないかどうかのチェックも行われます。
  • これは買い手・売り手の双方が対象で、金融機関やSolicitor、Estate Agent(不動産仲介業者)が確認を行います。
  • 制裁対象者や制裁関連国に該当すると取引が停止されるため、取引に先立ち必ずチェックが行われます。
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Conveyancing(契約・登記手続き)

イギリスの不動産購入では、Solicitor または Conveyancer に依頼し、次の手続きが必要です。

  • 権利関係の調査(所有権や抵当権の有無など)
  • 各種調査(Searches):地方自治体による計画、道路拡張予定、環境リスク、上下水道やフラッドリスク(洪水リスク)など
  • 契約書の交換(Exchange of Contracts):ここで法的拘束力が発生し、通常は購入額の10%を頭金として支払います
  • Completion(決済・引渡し):残代金を支払い、Land Registry(登記局)に登記を行います-
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税金と追加費用

  • 印紙税(Stamp Duty Land Tax, SDLT)一定額以上の不動産購入に課税されます。日本居住者を含む非居住者の場合は、通常の税率に加えて 2%の追加課税 が適用されます。(複数の物件所有の場合にはさらに追加課税があります。詳細は別途物件購入ガイドを参照ください)
  • キャピタルゲイン税(Capital Gains Tax, CGT)将来不動産を売却した場合、非居住者であっても課税対象になります。
  • 登記費用やSolicitor費用 も別途必要です。
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日本居住者に特有の追加要件

日本に住んだままイギリスの不動産を購入する場合、以下の点に注意が必要です。

  • 本人確認書類の認証 日本の公証人、弁護士、会計士、または英国大使館で認証(Certified Copy)を受ける必要があります。
  • 日本語書類の翻訳 源泉徴収票や相続関連書類など、日本語の書類は英訳が必要になることがあります。
  • 海外送金に関するチェック 日本の銀行から送金する際にも AML・制裁チェックが行われ、送金目的や資金源について説明を求められます。
  • 住宅ローン(Mortgage)の制限 日本居住者は通常の英国の住宅ローンを利用できないことが多く、海外居住者向けローン(Expat Mortgage)などに限定されます。頭金の割合も多めに求められるのが一般的です。

よくあるご質問

はい、日本居住者には以下の追加要件があります。

  • 本人確認書類は 認証(Certified Copy) が必要
  • 日本語の書類は 英訳 を求められることがある
  • 海外送金時に 送金目的・資金源 の確認を銀行から受ける
  • 住宅ローンは一般的に制限があり、Expat Mortgage など特殊商品に限られる

イギリスの不動産購入・保有には以下の税金が関わります。

  • 印紙税(Stamp Duty Land Tax, SDLT): 購入価格に応じて課税されます。日本居住者を含む非居住者の場合は、通常の税率に加えて 2%の非居住者追加課税 がかかります。
  • キャピタルゲイン税(Capital Gains Tax, CGT): 将来不動産を売却した際、非居住者であっても課税対象になります。売却益に応じた申告が必要です。
  • 所得税(Income Tax, 賃貸収入): 賃貸に出して家賃収入を得る場合は、イギリスでの所得税の課税対象となります。非居住者の場合、「Non-Resident Landlord Scheme」に基づき、家賃収入から源泉徴収されるか、HMRC(イギリス税務当局)に申告して納税します。家賃収入からは、住宅ローン利息、管理費、修繕費などの経費を控除できます。日本でも課税対象となるため、日英租税条約や外国税額控除を活用して二重課税を回避する必要があります。
  • その他の費用: 登記費用、Solicitor費用などが別途かかります。

将来の税制改正についての注意書き

イギリスの不動産関連税制は、近年頻繁に見直しや改正が行われています。現行の制度(SDLT、CGT、賃貸収入への所得税など)に加えて、以下のような変更案が検討されています。

National Insurance(国民保険料)の賃貸収入への拡張案: 一定の家賃収入に対して追加で国民保険料を課す仕組みが議論されています。

Stamp Duty(土地・不動産取引税)の制度変更案: 現在の購入時一括課税ではなく、高額物件については年次課税方式に移行する可能性が取り沙汰されています。

これらはまだ「検討段階」にあり、正式に決定されるのは2025年秋の予算(Autumn Budget)以降と見込まれています。実際の施行は2026年4月からとなる可能性があります。そのため、本ページに記載した内容は 現行制度に基づくものであり、将来的に変更される可能性がある 点にご注意ください。最新の情報は、英国政府の公式発表や専門家(弁護士・税理士)に確認されることをおすすめいたします。

  • パスポート
  • 住所証明(公共料金の請求書、銀行明細など)
  • 購入資金の銀行明細(3〜6か月分)
  • 給与明細または源泉徴収票、確定申告書
  • 贈与・相続の場合はその証明書類(+資金提供者の資金源証明)
  • 英訳や認証が必要な場合があります