為替動向が英国不動産投資に与える影響

円安局面で考えるロンドン不動産投資

ロンドン不動産への投資を考えるうえで、為替は以前から重要な要素のひとつでした。

特にここ数年、日本円はポンドに対して大きく下落しており、多くの日本人投資家にとって無視できないテーマとなっています。一方で、ロンドンの堅調な賃貸市場と円安が重なったことで、英国不動産投資の魅力は、想像以上に高まっているとも言えるでしょう。

本記事は、「為替相場を予測して投資タイミングを狙う」ことを目的としたものではありません。

為替の変動がロンドンの賃貸不動産を長期保有した場合の収益にどのような影響を与えるのか。そして、現在の市場環境が、長期的な視点を持つ海外投資家にとってどのような意味を持つのかを分かりやすく解説します。

通貨の動向

現在のポンド円相場

ポンド円相場は、この数年間で大きく上昇しました。

2021年頃には1ポンド=150円前後で推移する時期もありましたが、その後は円安・ポンド高が進んでいます。

過去1年間でも、ポンド円相場は2025年5月の1ポンド=193.06円から、2026年4月には216.17円まで上昇しました。日本円と英国ポンドの間で資金を移動する投資家にとって、為替の変動は投資コストや収益に直接影響する重要な要素です。

2026年7月中旬時点では、1ポンドは約215円台で推移しています。

より長期的に見ても、近年は円安・ポンド高の基調が続いています。

その背景には、日本と英国を含む主要国との金利差や金融政策の違い、物価動向、国際的な資金の流れなど、さまざまな要因があります。

日本銀行は金融政策の正常化を進めている

日本銀行は、長く続いた大規模な金融緩和からの正常化を段階的に進めています。

2026年6月の金融政策決定会合では、政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げました。これは日本の政策金利として約30年ぶりの高い水準です。

一般的に、金利の引き上げは通貨を支える要因となるため、日銀の利上げは円高材料になり得ます。

一方で、為替相場は日本の金利だけで決まるものではありません。海外との金利差、各国の景気や物価、エネルギー価格、国際情勢、投資家の資金移動など、複数の要因が影響します。

日銀が金融政策の正常化を進めても、そのペースが緩やかで、海外との金利差が残る場合には、円が直ちに大幅に上昇するとは限りません。

日本人投資家が英国不動産を所有する場合、この点は重要です。

賃貸収入はポンド建てで得られます。その収入をポンドのまま保有したり、英国側の費用や再投資に充てたりする場合、購入時とは異なる形で為替の影響を受けることになります。

為替が賃貸収益に与える影響

現在のロンドンでは、不動産価格は比較的安定した動きを見せていますが、賃貸市場は引き続き堅調に推移しています。

現在は、キャピタルゲイン(資産価値の上昇)だけでなく、インカムゲイン(賃貸収益)の重要性が高まっている市場と言えるでしょう。

ロンドンの表面利回りはエリアによって大きく異なります。プライム・セントラル・ロンドンでは比較的低い水準となる一方、郊外や再開発が進む地域では、より高い利回りが期待できる場合があります。Nine Elmsをはじめとする再開発エリアでも、引き続き安定した賃貸需要が見られます。 日本人投資家にとって、投資収益には二つの側面があります。

ひとつは、不動産そのものから得られる賃貸収入です。

もうひとつは、その賃貸収入を日本円へ換算した際の為替の影響です。

賃料が上昇すればポンド建ての収入は増加します。さらに円安・ポンド高が進めば、同じポンド収入でも円換算後の受取額は大きくなります。

将来的に物件価格が上昇し、売却時にもポンド高が続いていれば、売却益を円へ換算した際にも為替の恩恵を受ける可能性があります。

一方で、購入後に円高・ポンド安が進めば、ポンド建てでは利益が出ていても、円換算した際の収益が小さくなることがあります。

このように、為替は投資収益を押し上げる可能性がある一方で、投資結果を左右するリスクのひとつでもあります。

円高になるまで待つべきか

海外投資を検討する際、

「もう少し円高になってから購入したい」

と考える方は少なくありません。

円高になれば、同じ価格の英国不動産を、より少ない日本円で購入できます。

しかし、為替市場は金利や景気、物価、国際情勢など、さまざまな要因によって動くため、短期的な方向を正確に予測することは容易ではありません。

為替が有利になるのを待っている間にも、ロンドンの物件価格や賃料は変動します。また、希望するエリアや条件に合う物件が、常に市場に残っているとは限りません。

期待したほど円高が進まず、反対に円安がさらに進む可能性もあります。

そのため、為替だけを理由に購入時期を判断するのではなく、物件の価格、賃貸需要、想定利回り、将来性、保有予定期間などを総合的に検討することが大切です。

為替変動への対応方法

日本人投資家

日本から英国不動産を購入する際の資金移動には、さまざまな方法があります。

購入代金を一度にポンドへ交換し、その時点の為替レートを受け入れる投資家もいれば、専門の海外送金サービスを利用して、複数回に分けて資金を移すことで為替変動の影響を分散させる投資家もいます。

また、購入後に得られる賃貸収入についても、すぐに日本円へ換金するのではなく、ポンドのまま英国で保有し、物件の維持管理費や将来の再投資に充てるという選択肢もあります。

どの方法が適しているかは、投資目的や保有期間、資金計画によって異なります。

日本人投資家が知っておきたいSDLT(英国印紙税)

2026年現在、日本を含む英国外に居住する方がイングランドまたは北アイルランドで住宅を購入する場合、通常のStamp Duty Land Tax(SDLT)に加え、原則として2%の非居住者向け追加税率が適用されます。

また、すでに住宅を所有している個人が追加の住宅を購入する場合や、法人による購入など、購入形態によっては別途追加税率が適用されるケースもあります。

そのため、日本人投資家がロンドンの賃貸物件を購入する際は、購入者の居住状況や所有形態に応じて、適用される税率を事前に確認することが重要です。

なお、英国には初めて住宅を購入する方向けの軽減措置(First-Time Buyers' Relief)がありますが、これは一定の条件を満たす自己居住用住宅を対象とした制度です。日本に居住する投資家が賃貸目的で住宅を購入する場合には、通常は適用されません。

これらの取得時コストは事前に把握できるため、為替の動向も踏まえながら、資金計画を立てることができます。

為替だけで投資判断をしない

為替は、海外不動産投資における重要な判断材料のひとつです。

しかし、それだけで投資の成否が決まるわけではありません。

立地、賃貸需要、利回り、将来の資産価値、管理体制など、不動産そのものの基本的な条件が整っていることが、長期的な投資成果につながります。

こうした条件が満たされていれば、5年から10年という長期保有のなかで、一時的な為替変動が投資全体の収益性を大きく左右するとは限りません。

一方で、為替だけを理由に購入を判断すると、本来魅力的な投資機会を逃してしまう可能性もあります。

長期的な視点では、為替も重要な要素のひとつとして考えながら、不動産そのものの価値を総合的に評価することが大切です。

ロンドン市場が持つ長期的な魅力

ロンドンは、世界でも透明性の高い不動産市場のひとつです。

法制度や取引プロセスが整備されていることに加え、売買・賃貸・物件管理を担う専門会社も数多く存在し、海外投資家が安心して資産を保有できる環境が整っています。

住宅価格は市場環境によって変動しますが、ロンドンは人口増加や継続的な住宅供給不足、国際都市としての高い需要を背景に、長期的な資産市場として多くの海外投資家から注目されています。

日本人投資家はこれまで国内不動産や債券を資産運用の中心としてきましたが、ロンドン不動産はそれらとは異なる特徴を持つ実物資産です。

国際的な金融都市であるロンドンに位置し、世界の主要通貨であるポンド建てで資産を保有できることに加え、現地には賃貸募集から管理までを支える充実したインフラがあります。

現在の円安は、日本円で購入する際の負担を大きくしています。

一方で、購入後に得られる賃貸収入や将来の売却代金もポンド建てであるため、為替は保有期間を通じた収益にも影響を与えます。

そのため、購入時の為替だけでなく、長期的な資産運用全体のなかで為替を考えることが重要です。

Benham and Reeves Japan Deskのサポート

Benham and Reevesは、65年以上にわたりロンドン不動産市場で事業を展開してきました。

Japan Deskでは、日本のお客様に対し、物件選びから購入手続き、賃貸募集、入居者対応、そして日々の物件管理まで、一貫したサポートをご提供しています。

海外から不動産を所有する場合、購入後の管理体制は非常に重要です。

Benham and Reevesでは、売買と賃貸管理を別々の会社へ引き継ぐのではなく、一つのチームが継続してお客様の資産運用をサポートします。そのため、物件の特徴や購入時の経緯を理解した担当者が、長期的な視点で運用をお手伝いすることができます。

ロンドン不動産をご検討の際には、物件価格だけでなく、想定利回り、為替の影響、日本居住者に関わる税務上のポイント、そして日本から購入する際の具体的な流れまで、総合的に検討することが重要です。

Benham and Reeves Japan Deskでは、お客様一人ひとりの状況に合わせて、ロンドン不動産投資について日本語で分かりやすくご案内しています。

どうぞお気軽にJapan Deskまでお問い合わせください。

辻 喜晶(Yoshiaki Tsuji

不動産業界で20年以上の経験を持ち、ARLA Propertymark(英国不動産業界資格)のメンバー。多くの日本人投資家や購入者のロンドン不動産購入をサポートしてきました。日系企業とも積極的に連携し、ロンドンに駐在する社員様の住居ニーズにもお応えしています。

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