現在のロンドン不動産市場を支える需要とは?

ロンドンへの不動産投資を検討する際、まず確認しておきたいのは、「需要がどれほど安定しているのか」、そして「その需要を支えている要因は何か」という点です。

これは、安定した賃貸収入が期待できるか、資産価値を維持しやすいか、さらにはロンドン市場が他国の不動産市場とどのように異なるのかを判断するうえで重要なポイントとなります。

ロンドン市場の根本的な課題 ― 住宅供給が慢性的に不足

London property

ロンドンの不動産市場を語るうえで欠かせない特徴は、住宅供給が長年にわたり需要に追いついていないことです。

英国政府は、2019年の総選挙公約で年間30万戸の住宅供給を目標に掲げ、その後も現政権は議会任期中に150万戸の住宅を供給する方針を示しています。

しかし実際の供給は、この目標を大きく下回っています。

英国住宅・地域・地方自治省(MHCLG)によると、2024/25年度にイングランドで新たに供給された住宅(純増)は208,600戸にとどまり、前年から6%減少しました。これは2015/16年度以降で最も少ない水準となっています。

近年、年間30万戸という政府目標が達成されたことは一度もありません。

特にロンドンでは、この需給ギャップがより深刻です。

長期間にわたり住宅供給が需要を下回る状況が続けば、不動産価格や賃料は中長期的に支えられやすくなります。

もちろん、市場は毎年同じ動きをするわけではありません。2026年はロンドンの住宅価格がやや落ち着いた一年となっていますが、市場を支える根本的な需要が弱まったわけではありません。

人口増加が需要を支える

ロンドンの人口は、2023年までの10年間で50万人以上増加し、現在では約900万人となっています。

英国国内はもちろん、世界各国からも、ビジネスパーソンや学生、ファミリー層が継続的に流入しており、この人口増加が住宅需要を支えています。

海外投資家にとって重要なのは、人口増加に対して住宅供給が追いついていないことが、安定した賃貸需要を支えている点です。住宅不足が続く限り、入居希望者が供給される物件数を上回りやすくなり、空室期間は短く、賃料も安定しやすい傾向があります。

ロンドンでは誰が物件を借りているのか

「ロンドンは賃貸需要が高い」という説明だけでは、市場の実態は十分に伝わりません。

実際には、ロンドンの賃貸市場は複数の異なる入居者層によって支えられており、それぞれ異なる特徴を持っています。

若手ビジネスパーソン

ロンドンは現在もヨーロッパ最大級の金融センターであり、世界有数のテクノロジー産業の集積地でもあります。

25歳から40歳前後の金融、IT、メディア、法律関連などの専門職に従事する若いビジネスパーソンは、ロンドンで最も大きな賃貸需要層となっています。

2026年初頭時点では、

  • Shoreditch・Hackney
  • Clapham・Brixton
  • Canary Wharf・Greenwich

などで、こうした層から特に高い賃貸需要が見られています。

これらの入居者は比較的安定した収入を持ち、物件を丁寧に使用する傾向があるため、多くの家主にとって安心感のあるテナント層といえます。

大学生・大学院生

Japanese students

ロンドンには、

  • University College London(UCL)
  • King's College London
  • Imperial College London
  • London School of Economics(LSE)

をはじめ、多くの世界的な大学があります。

ロンドン市内の大学・高等教育機関に在籍する学生数は50万人を超えており、この規模は毎年維持されています。

特に大学院生や海外からの留学生は、大学周辺エリアに継続的な賃貸需要を生み出しています。

また、日本を含む海外から留学する学生の場合、3年以上滞在するのであれば賃貸ではなく物件を購入するという選択をされるご家庭も少なくありません。

法人契約・駐在員による賃貸需要

ロンドンには、多くの多国籍企業の本社や欧州拠点、大使館、国際機関が集まっています。

そのため、企業契約(Company Let)や海外駐在員向けの賃貸需要が安定して存在しており、家具付きで管理状態の良い物件には特に高いニーズがあります。

こうした法人契約の入居者は、品質の高い住宅やプロフェッショナルな管理サービスを重視する傾向があり、適切に管理された物件には比較的高い賃料を支払うケースも少なくありません。

世界有数の教育都市としてのロンドン

UCL

ロンドンは、世界トップクラスの教育都市としても高い評価を受けています。

QSが発表した「Best Student Cities 2026」では、ロンドンは6年連続で首位を維持した後、2026年も世界トップ3にランクインしました。

これほど多くの世界的評価の高い大学が集まり、それに伴って国内外から多数の学生が集まる都市は世界でも限られています。

この教育需要は景気の影響を受けにくく、ロンドンの住宅市場を長期的に支える重要な要素の一つとなっています。

LSE、UCL、King's College London、Imperial College Londonには、日本をはじめアジア各国から多くの留学生が在籍しています。

そのため、

  • Bloomsbury
  • South Kensington
  • Hammersmith
  • Canary Wharf

など、これらの大学へのアクセスが良いエリアでは、学生や研究者を中心とした安定した賃貸需要が続いています。

日本からお子様をロンドンへ3年間程度留学させる場合、「家賃を払い続けるよりも物件を購入した方が合理的ではないか」と考えられるご家庭も少なくありません。

在学中はご本人が居住し、卒業後は賃貸として運用することで、英ポンド建ての資産を保有しながら家賃収入を得られるという点も、この方法が選ばれる理由の一つです。

Benham and Reeves Japan Deskでは、このような海外オーナー様向けの賃貸管理サービスもご提供しています。

世界有数の金融センターであることも需要を支える

ロンドンが世界的な金融都市であることも、不動産需要を支える大きな要因です。

シティ(City of London)とCanary Wharfには、世界有数の金融機関が集積しており、金融サービス業の中心地としての地位を維持しています。

さらに、

  • 法律事務所
  • 会計・コンサルティングなどの専門サービス業
  • ShoreditchやOld Streetを中心としたテクノロジー企業

など、多様な産業が集積していることから、多くの雇用が生まれ、住宅需要へとつながっています。

これらの業界が成長すれば住宅需要も拡大しますが、仮に景気後退などによって一時的に需要が落ち込んだとしても、慢性的な住宅不足が市場を下支えする構造は変わりません。

ロンドンが世界的な金融・ビジネス都市であるという強みは、一時的な景気循環によって左右されるものではなく、この街が長年築いてきた基盤そのものといえるでしょう。

賃貸需要が高いエリアは?

ロンドンの賃貸需要は、市内すべてのエリアで均一というわけではありません。

2026年時点では、再開発が進み交通利便性が向上しているエリアや、比較的購入価格を抑えられるエリアを中心に、高い賃貸需要が見られます。

例えば、

  • Wembley
  • Woolwich
  • Stratford
  • Abbey Wood

などは、再開発やエリザベス線の開業・延伸効果もあり、若いビジネスパーソンを中心とした安定した賃貸需要が続いています。

一方で、

• Kensington • Mayfair

などのプライム・セントラル・ロンドンは、賃貸利回りこそ比較的低めですが、法人契約や富裕層からの需要が高く、資産性を重視する投資家から引き続き高い人気があります。

どのエリアが適しているかは、「利回りを重視するのか」「資産価値の維持・成長を重視するのか」といった投資目的によって異なります。

また、一般的には、駅からのアクセスが良いワンベッドルームやスタジオタイプは、ファミリー向けの大型物件と比べて賃貸需要が幅広く、安定した運用につながりやすい傾向があります。

Benham and Reeves Japan Deskでは、お客様の投資目的やご予算に応じて、最適なエリアや物件選びをサポートしています。

短期的な市場と、長期的な投資という視点

現在のロンドン市場では、住宅価格はやや落ち着いた動きを見せている一方で、賃料は引き続き高い水準を維持しています。

しかし、その背景にある慢性的な住宅不足は依然として解消されておらず、中長期的な需要構造に大きな変化はありません。

そのため、短期的な価格変動だけで市場を判断するのではなく、10年、20年といった長期的な視点で資産形成を考える投資家にとっては、現在の市場環境を一つの購入機会として捉える考え方もあります。

実際に、日本の個人投資家や資産管理会社(ファミリーオフィス)など、長期保有を前提とした投資家の中には、短期的な市場の変動に左右されず、中長期的な資産価値や安定した賃貸需要を重視してロンドン不動産への投資を検討されるケースも少なくありません。

ロンドン不動産への投資をご検討中の方は、Benham and Reeves Japan Deskまでお気軽にご相談ください。市場動向や物件選びから、ご購入後の賃貸管理まで、一貫してサポートいたします。

辻 喜晶(Yoshiaki Tsuji

不動産業界で20年以上の経験を持ち、ARLA Propertymark(英国不動産業界資格)のメンバー。多くの日本人投資家や購入者のロンドン不動産購入をサポートしてきました。日系企業とも積極的に連携し、ロンドンに駐在する社員様の住居ニーズにもお応えしています。

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