日本からロンドンの新築オフプラン物件(完成前物件)の購入を検討する際、まず理解しておきたいのが、イギリスでは物件によって支払いスケジュールが異なるという点です。
日本の不動産購入では、一般的に売買契約時に物件価格の5~10%程度を手付金として支払い、残代金を決済・引き渡し時に支払います。イギリスのオフプラン物件でも、まず予約金(Reservation Fee)を支払い、その後、契約締結(Exchange of Contracts)の際にデポジットを支払い、残金を完成時に支払うという流れが一般的です。ただし、物件によっては建築の進捗に応じて追加の支払いが設定されている場合もあります。
建築期間中に複数回に分けて支払いを行う「ステージペイメント」が、すべてのロンドンの新築物件で採用されているわけではありません。そのため、購入を決定する前に、それぞれの物件について具体的な支払いスケジュールを確認しておくことが重要です。
イギリスのオフプラン物件購入における支払いの流れ
ロンドンのオフプラン物件購入は、一般的にいくつかの段階を経て進みます。
最初に支払うのが予約金(Reservation Fee)です。通常は数千ポンド程度で、購入希望の物件を一定期間確保し、その間にソリシター(弁護士)が契約内容を確認します。予約金は、その後支払うデポジットの一部に充当されるのが一般的です。
2026年3月2日以降の予約については、New Homes Quality Codeの対象となる登録デベロッパーの場合、少なくとも14日間のクーリングオフ期間が設けられており、この期間内であれば予約金の全額返金を受けることができます。それ以降のキャンセルについては、規定に基づいて一定の費用が差し引かれる場合があります。
ソリシターによる契約書の確認が完了し、購入手続きを進めることに問題がないことが確認されると、契約締結(Exchange of Contracts)へ進み、デポジットを支払います。
デポジットの支払期限は、予約時の書類に記載されています。金額は通常、物件価格の10~20%程度ですが、物件によってはより高いデポジットが設定されていたり、その後追加のステージペイメントが必要となったりする場合もあります。
建築期間中の追加支払いについても、すべてのデベロッパーが求めているわけではありません。契約締結後、完成まで追加の支払いが一切ない物件もあれば、契約上定められた日程や建築の進捗に合わせて追加の支払いが必要となる物件もあります。例えば、建物が「Watertight(雨風が建物内部に入らない状態)」に達した段階で支払いが設定されているケースがあります。
どの支払い方式が適用されるかについては、契約締結前にソリシターから確認することになります。
最後に支払うのが、法的な決済・引き渡し(Legal Completion)時の残金です。建物が完成し、決済が行われる際に物件価格の残額を支払い、その後、所有権の移転と鍵の引き渡しが行われます。
日本から購入資金を送金する場合、特にこの最終支払いについては十分な準備期間を確保しておくことが重要です。海外送金や住宅ローンを利用する場合の融資実行については、想定される完成時期に合わせて事前に準備を進めておく必要があります。
物件の引き渡し準備が整うと、通常はデベロッパーから正式な通知が出され、具体的な決済スケジュールが確定します。
ロンドンのオフプラン物件における建築工程
建築工程を理解しておくと、購入した物件が現在どの段階まで進んでいるのかを把握しやすくなります。ただし、建築工程と支払いのタイミングが必ずしも一致するわけではありません。
主な建築工程は次のようになります。
Groundworks and Foundations(基礎工事)
敷地の準備を行い、建物の基礎部分を施工する段階です。
Superstructure(躯体工事)
建物の骨組みが階ごとに立ち上がっていく段階です。外から見ても建物の成長が最も分かりやすく、通常は比較的長い期間を要します。
Watertight Stage(建物の外部が閉じられる段階)
屋根や外壁、窓などが設置され、雨風が建物内部に入らない状態になります。その後、本格的な内装工事が進められます。
Pre-completion Snagging Inspection(完成前検査)
法的な決済・引き渡しの直前に、購入者本人または適切な資格・経験を持つ専門のインスペクターが室内を確認することがあります。内装や仕上げの状態をチェックし、補修が必要な箇所がないかを確認するための検査です。
Legal Completion and Handover(決済・引き渡し)
購入代金の残額を支払い、物件の所有権が購入者へ移転します。その後、鍵が引き渡されます。
海外からオフプラン物件を購入する際の保証制度
完成前の物件を購入する場合、実際の部屋を確認できない状態で契約することになるため、当然ながら一定のリスクがあります。イギリスでは、こうした新築物件の購入者を保護するための保証制度が設けられています。
代表的なものが、イギリスで広く利用されているNHBC Buildmark Warrantyです。
NHBC Buildmarkには、完成前に支払ったデポジットに対する保護(Pre-completion Deposit Protection)に加え、完成後最初の2年間のビルダーによる保証期間と、その後8年間のNHBCによる保険期間が含まれています。
完成前のデポジット保護については、通常、当初の購入価格の10%、最大£100,000までが対象となり、最初の購入者に適用されます。
完成後の最初の2年間は、NHBCの技術基準を満たしていない不具合について、原則としてデベロッパーまたはビルダーが直接対応します。
その後の8年間については、NHBCの保険によって、NHBCの基準を満たさずに建築されたことによって生じた、規定の建物構造上の物理的損害などが補償対象となります。具体的な補償内容については、NHBCの保険約款および適用条件に従います。
完成前のSnagging Inspectionも重要です。内装や仕上げの不具合などを事前に確認し、デベロッパーに対応を求めることができる機会となります。
日本在住の購入者にとってのメリット
日本からロンドンのオフプラン物件を購入する場合、この購入方式には実務上、大きく2つのメリットがあります。
一つ目は、資金計画を立てやすいことです。
ステージペイメントが設定されている物件では、購入資金を建築期間中に分散して支払うことができます。また、途中の追加支払いがない物件でも、契約締結から完成まで一定の期間があるため、その間に資金調達や日本からの海外送金について準備することができます。
二つ目は、購入価格が契約締結時に確定することです。
オフプラン物件では、購入価格は完成時ではなく、Exchange of Contractsの時点で確定します。そのため、その後物件が完成するまでの間に市場価格が変動しても、契約したポンド建ての購入価格自体は変わりません。
ただし、日本在住の購入者にとって注意が必要なのが為替です。購入価格はあくまで英ポンド建てで確定するため、契約締結から完成までの間にポンド/円の為替レートが変動すれば、最終的に日本円で必要となる購入資金は変わる可能性があります。
物件の予約から契約、完成、鍵の引き渡しまで、ロンドンでの不動産購入の流れを詳しく知りたい方は、当社の「ロンドン不動産購入ガイド」も併せてご覧ください。
また、具体的な新築開発物件をご検討中で、契約前に支払いスケジュールの内容を確認したい場合は、当社の東京投資チームまでお気軽にご相談ください。